女性誌『リンネル』の躍進に見るユーザーセグメント
今回のテーマはデジタルマーケティングとは必ずしも言い切れないかもしれません。しかし、女性ファッション誌「リンネル」のセグメントの取り方に関して参考になるところがあったので紹介します。
「リンネル」のジャンプアップ
最近テレビで紹介されていましたが、女性ファッション誌「リンネル」の躍進がすごいらしいです。
一般社団法人 日本ABC協会が出す2016年上半期(2016年1~6月)の全ファッション雑誌ランキングで2位と前年度の6位からランキングをジャンプアップさせました。
「リンネル」が採用したサイコグラフィックなユーザーセグメント
リンネルの躍進の要因が気になったので、すこし考えてみました。
考察を進めていくと、リンネルには他の女性ファッション誌と決定的に違う点が見えてきました。
本来女性ファッション誌といえばユーザーセグメントを年齢や性別といった軸でとり、ターゲットを決めていきます。
人気雑誌「Sweet」は20代後半の女性をターゲットにし、「大人ガーリーカジュアル」というそのターゲットにあったコンセプトを追求しています。他にも「non-no」や「InRed」なども特に年齢によるセグメントの分け方を採用し、そのターゲットにあった情報や付加価値を提供しています。
年齢や性別、居住地域、収入、職歴、学歴など、その人口統計学的属性をデモグラフィック属性といいますが、そのデモグラフィックなセグメントの取り方が従来の女性ファッション誌の特徴でありました。
一方リンネルを見てみると、“心地よい暮らしと装い”をコンセプトに、10~60代まで幅広い年齢層の読者の支持を得ているナチュラル系ファッション雑誌になっています。
2010年の創刊以来、“毎日の暮らしを大事にしたい”、”ファッションも住まいも同じ目線で選びたい”と考える人をターゲットにし、そのゆったりとした、余裕のあるスタイル、コンセプトによって顧客を創出してきました。
ライフスタイル、行動、信念、価値観、個性、購買動機などの心理的な属性の事をサイコグラフィックと言いますが、リンネルはサイコグラフィックなセグメントの取り方によってターゲットを策定しています。
デモグラフィックなセグメントを取り払った大胆な戦略
注目すべきは10~60代まで幅広いターゲットでさらに男女のどちらもターゲットにしていることです。デモグラフィックなセグメントにおいてはほとんどユーザーを絞っていないことがわかりますが、大胆なセグメントの取り方で顧客の獲得に成功した例といえるでしょう。
デジタルマーケティングにおけるユーザーセグメント
デジタルマーケティングにおいてもよりサイコグラフィックなセグメントの取り方が重要になってきており、MAやビッグデータなどではそのセグメントの精度を上げるため、差別化を図るための施策が数多く打たれています。
→CX(カスタマーエクスペリエンス)の変化とデジタルが与える影響
セグメントによる差別化は多くの企業においても課題になっていると思いますが、今回リンネルの例でも見たようにサイコグラフィックなセグメントがその課題を解決するヒントになる場合もあります。